二度と無い夜

「うちの子中々寝付いてくれないんだよね」
バイトの休憩中、公園でパンを食べている時に出会った主婦は目の前を元気に走り回る子供を眺めながら呟いた。

どこか暗い影かあるが、妙にそれが色っぽかった。

少しふっくらとしているが女性としての魅力は十分に感じる茶髪の彼女は驚いたことに僕と同じ年齢らしい。
その豊満な胸に目を奪われながらも、自分と同じ二十歳そこそこで子供を育てる苦労を想像して自分には理解できないだろうと考えた。

さらに彼女のお腹の中には新しい命が宿っているというのだから驚きだ。
旦那さんは10歳以上年齢が離れていて、同じ年の人と会話がしたかったという。

僕は彼女とメールアドレスを交換すると憂鬱なアルバイトに戻った。
アルバイトの後、心地のいい疲れに包まれながら帰路についていると携帯電話が震えた。
あの若いお母さんからだ。

「これから来ない?」
背徳的な響きを感じる内容だった。

何かを期待してしまいながら、そんな事はないだろうとメールで指定された住所に自転車で向かった。
貧乏アパートに一人暮らしをしている僕からは遠い世界に感じる立派なマンションだった。
家計のことは知らないが、経済的には不自由していないのかもしれない。

ではなぜ、アルバイトなのか?
暇を持て余すとストレスが溜まってくるからだろう。
ストレス解消に、若い獲物を捕まえるのか。

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